温習
誕生日を日々のせわしなさに忙殺される感覚をおぼえてみたい
当日は夫が毎年仕事なので、前日に休暇を取って外食したり映画を見たりした
祝日のきょう、だらだらとひとりで過ごした
最終的にハードシードルを飲んで日付がかわろうとしている
男から連絡がくる
他の女の知り合いからも3人くらい電子メールで連絡があったあったが、感謝しなければという義務感がぬぐえない
文字だけの会話なのにこの男との会話はひどく落ち着く
おめでとう
何歳だとおもう?
おぼえてない
あててみろ
このくらい
おぼえてるじゃないか
おぼえてない、大体だよ
嘘でもおぼえてたって言えよバカ
このひとの前でいる自分は口のききかたや意地がひときわ悪い、だが、この自分が好ましいと感じる
それは、ただの、思い違いなのだが
あまりよくないことなのに、ただの懐かしさなのに、責任を転嫁できるようにこのハードシードルの封を切ったわけではないのに、不本意が辻褄をあわせることをとめられないのだ